じぎゃくの19番 負け戦が好き

米下院外交委、従軍慰安婦決議26日採決へ日本経済新聞

米下院外交委員会は18日、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で、日本政府に謝罪を求める決議案を26日に採決する方向となった。決議案の共同提案者は共和党民主党にまたがって140人に上っており、外交委だけでなく下院本会議でも可決の可能性がある。この問題をめぐっては安倍晋三首相が4月の訪米時に謝罪の意を示し、いったんは沈静化したものの、その後も共同提案者が増えていた。

すさまじくマヌケだと思うのは、
この決議に抗議や反対して、日本に何のメリットがあるのかと*1
それ以前に、従軍慰安婦を否定して得るメリットって何だ。

  • いわゆる狭義の強制性はなかった。
  • 実際に朝鮮人慰安婦を集めたのは朝鮮の業者です。
  • その際に、暴行やら詐欺やら用いた責任はそちらにあります。
  • 当時は全く合法であり、現在の見方で批判するとは怪しからん。

はあ、なるほどそうですか。一理ありますね。一理だけですが。

では、例えばブッシュなんぞが以下の台詞を言ったらどうなるか。

  • 黒人奴隷制度は、当時のアメリカでは合法でありました。
  • 人権侵害はありましたが、当時の状況下では仕方ありません。
  • 契約自由の原則ですから、その契約した責任は奴隷本人にもあります。
  • 少なくとも、現地黒人業者の行為の責任はアメリカにはありません。

なんか今でもリアルに言いそうな人はおるような気がします。
南部の人とかKKKとかネオコンとかキリスト教原理主義者とか。

仮にそれが事実だとして、「ああ、なるほど。その通りですね」とか言って納得してくれる人、支持してくれる国が、どこにありますかと。
なに寝言ぬかしてけつかると、それはもお、国際的に非難轟々浴びることになりましょうな。


間違っちゃいけませんが、軍に慰安制度自体が存在したのは事実。
軍人さんが、いわゆる慰安婦ヤッてたのは事実ですよ。
そりゃあ貧困から自発的に参加した人もおれば、業者に騙されたり強制的*2に連れてこられた人もいたわけですよ。
そして、そういう行為は現在では重大な人権侵害にあたるんですよ。
国際的に人権を守る方向で世界中の国々が意見を一致させてるところに、こんな過去の人権侵害を肯定したと受け取られても仕方ないような行動とって、本当に国際的に非難されないと思っておるのだろうか。
仮に、「強制してない」だの「韓国の業者が」だの「当時は合法」だのと国際舞台で主張したとして、更に百歩譲ってそれが事実だとして、「ああ、なるほど。その通りですね」などと納得して支持してくれる国が、どこの世界に存在するのかと小一時間。*3
個々人の人間としても、少なくとも世界中の半分は*4こういう行為(これを擁護する行為も含めて)に感情的・生理的に嫌悪感を覚え、納得してくれるはずないと思いますが。


客観的に見れば、こういう状況大マヌケにしか見えません。
「客観的に」じゃなければ、「戦術的に」「戦略的に」大マヌケ
秦郁彦風に言えば、「勝てるとこで戦わず、わざわざ負けるとこで戦っている」ことになるんじゃないの?
河野談話持ち出して、すみませんと認めとけばいいじゃん。
その上で、アメリカもやってたではないですか反省しるとか言えば、少なくとも行動に整合性はありますし*5、国際的にも納得してくれる人は多いでしょうぜ。*6


ホント、日本って負ける戦いが好きですなあ。
こういう、思想に殉じて敗れるのが日本クオリティ♪
つーか、あの頃から全然変わってないんじゃないか?

*1:敢えて思いつくとしたら、溜飲が下がる程度でしょうか

*2:朝鮮半島では微妙だけど、ないことはないと思いますがね。インドネシアでは実際、白馬事件とかありましたし

*3:あ、台湾がありました。国かどうかという問題はありますが。ま、実質「国」か。

*4:

*5:日本の慰安制度だけは免責しつつ、アメリカ他の行為を非難するみたいな

*6:ただし、国として大っぴらにアメリカを非難してくれるとこがあるかどうかは別問題